University of Toronto G8 Information Centre

首脳会議・閣僚会議

バーミンガム サミット

コミュニケ(仮 訳)

1998年5月15-17日


はじめに

1.我々8ヵ国の主要な民主主義工業国の元首及び首相並びに欧州委員会委員長は、バーミンガムで会合し、我々自身及び他の諸国において人々に影響を与えている問題について議論した。グローバリゼーションがますます高まる世界において、我々は、より一層相互依存的になっている。我々の課題は、グローバリゼーションのプロセスを進めかつ持続させ、あらゆる地域において人々の生活の質が向上するように、より広範にその恩恵が行き渡ることを確保することである。我々はまた、我々の制度及び構造が世界で進行しつつある急速な技術的及び経済的変化に対応するものであることを確保しなければならない。

2.21世紀の始まりを控えた世界が直面する主要な課題の中で、このサミットは、以下の3点に焦点を当てた。

 それぞれのケースにおける我々の目標は、これらの課題に取り組むための具体的な行動について合意することであった。

世界経済における持続可能な成長の促進

3.相互依存の世界においては、我々は、すべての国において持続可能な経済成長を達成すべく努力しなければならない。世界的な統合は、我々が慫慂し形作ってきたプロセスであり、かつ、世界中の人々にとって明確な利益を生み出すプロセスである。我々は、5月2日になされた欧州経済通貨統合の創設に関する歴史的決定を歓迎した。我々は、世界経済の健全性に寄与する成功裡のEMUに期待する。健全な財政政策及び構造改革の継続に対する欧州連合諸国のコミットメントは、EMUの長期的成功並びに成長及び雇用に関する見通しの改善にとっての鍵である。

4.全体として世界の見通しは、依然として良好である。しかしながら、我々が前回会合して以来、この見通しは、アジアにおける金融危機によって一時的に後退している。我々は、この地域の安定と成長を再建するための努力及び国際金融機関の果たす重要な役割に対する我々の力強い支持を確認する。アジアの成功裡の回復は、我々すべてにとって重要な利益をもたらす。したがって、

5.来週のGATT創設50周年に関するWTOの祝賀行事に目を向けて、我々は、

6.最後の点は、世界が直面する最も困難な課題の1つを際立たせている。すなわち、より貧しい途上国、特にアフリカにおいて、その能力を開発し、世界経済により良く統合され、それによってグローバリゼーションのもたらす機会から利益を得ることを可能にすることである。我々は、アフリカにおける希望と進歩という新たな精神に勇気付けられる。課題は厳しいが、克服できるとの自信が高まりつつある。我々は、OECDの21世紀開発戦略に示されているとおり、改革し、発展し、経済的・社会的開発のための国際的に合意された目標を達成するための、これらの諸国の努力を支援する真のかつ効果的なパートナーシップにコミットする。したがって、我々は、いずれの場所においても児童のために少なくとも初等教育を実現し、母子死亡率と世界人口のうちの極貧人口の割合を大幅に減少させるために、これらの諸国と協力しなければならない。

7.我々は、これらの目標を達成するために、我々がリヨン及びデンヴァーにおいて策定したヴィジョンを完全に履行する意図を有する。したがって、我々は、以下について国際的な努力を共に行うことを誓う。

8.我々は、国連事務総長の最近の報告において特記されたとおり、紛争を予防し緩和するためのアフリカの能力を強化する特別の必要性を認識する。我々は、紛争予防及び平和維持のための訓練を提供するアフリカを本拠とする機関の能力を向上させる方途を探求する。我々はまた、貧しい紛争後の諸国が、自国の政治、経済、社会制度を、民主的な価値と基本的人権の尊重と整合的に再建する場合に、これら諸国の格別の必要に対応するための方途を更に検討する必要がある。即時の人道援助に加え、

9.持続可能な開発及び世界的な成長を確保するための1つの極めて重要な要素は、効率的なエネルギー市場である。したがって、我々は、4月のモスクワにおけるエネルギー大臣会合の結果を承認する。我々は、G8の枠組みの中で、エネルギー問題に関する協力を継続する。我々は、エネルギー生産地域及び通過地域における健全な基盤の上に立った政治的・経済的安定の重要性を認識する。我々は、信頼性が高く、経済的で、安全かつ環境面で健全なエネルギー供給が、予測される需要の増大を満たすことを確保することを目的として、エネルギー市場の発展を慫慂することにコミットする。効率性と競争的な環境を促進するための自由化及びリストラは、内外の主体の間のみならず政府と民間セクターの間の衡平な取扱いを確立する観点から、透明かつ無差別の国内法制及び規制の枠組みによって下支えされるべきである。これらは、我々のエネルギー・セクターが必要とする新たな投資を引き付けるために不可欠である。我々はまた、経済的に意味のある国際的なエネルギー輸送網を開発するための国際的な協力の重要性を認識する。我々は、この協力を、二国間で、あるいはエネルギー憲章条約の枠組みと原則に従うものを含め多数国間で追求する。

10.我々の電力セクターに対する新たな競争的な圧力にかんがみ、我々は、1996年のモスクワ・サミットにおいて行った、原子力発電所の安全な運転と世界中で高い安全基準を達成するとのコミットメントを再確認し、また、原子力安全勘定贈与取極の完全な履行を最大限重視する。我々は、原子力安全作業グループ(NSWG)の既定の任務に対する我々のコミットメントを再確認する。我々は、適切な状況における完全なメンバーシップを最終的な目標として、NSWGの活動におけるロシアの役割を深めることに意見の一致をみた。我々は、国際核融合実験炉(ITER)の試験的プロジェクトに関して成功裡に協力が行われていることを認識し、民生用の核融合の発展のための国際協力を継続することが望ましいと考える。

11.我々の将来の繁栄に対する環境面での最大の脅威は、引き続き気候変動である。我々は、それに取り組むとの我々の決意を確認し、リーズ城における環境大臣会合の結果を承認する。法的拘束力を有する目標を含む議定書の京都における採択は、温室効果ガスの排出を削減するための我々の努力における歴史的な転換点である。我々は、我々の数ヵ国が議定書に最近署名したことを歓迎し、来年中にこれに署名するとのその他の国の意図を確認し、これを批准し京都の合意を現実のものとするために必要な更なる作業を早急に開始することを決意する。この目的のため、

12.東南アジア及びアマゾン地域における最近の悲惨な森林火災は、我々の環境のみならず経済成長及び政治的安定に対して脅威を与えており、森林を持続可能に管理し保全するための世界的な協力、より良くかつより効果的な枠組み及び実際の協力が極めて重要であることを示している。我々は、2000年に、先週発表されたG8行動プログラムの実施の進捗を評価する。我々は、国際連合の下で進行中の森林に関する作業を強く支持し、この努力が継続することを期待する。

成長、雇用可能性及び社会的一体性

13.すべての我々の国民は、男性であれ女性であれ、就労と相応の生活水準を通じて、国家の繁栄に貢献しこれを共有する機会を享受するに値する。課題は、すべての我々の市民が、成長と雇用創出を増大させることによって、急速な技術的変化と経済のグローバリゼーションの利益を共有することを確保し、一体的な社会を構築しつつ、このような利益を如何にして獲得するかである。我々は、このことを達成するためには、健全なマクロ経済の枠組みの中で、国内の経済的・社会的構造を近代化することが重要であることを認識する。これらの目的のために、我々は、G8財政・経済・労働及び雇用担当大臣が、「成長、雇用可能性及び社会的一体性」に関する2月のロンドン会議で合意した7つの原則を強く承認する。我々はまた、活力ある高齢化に特別の焦点を当てた、1997年11月の神戸雇用会議の結論を歓迎する。

14.我々は、各国それぞれがロンドン会議の7つの原則が如何にして実施されつつあるかを示すために作成した行動計画を議論し歓迎した。この分野における各国の経験と最良の実践を共有することによって、我々は、我々の政策と対応振りを改善することができる。我々は、これらの計画を成功裡に実施することを確保するに際して雇用者と労働組合の関与が重要であることを強調した。

15.行動計画は、我々すべてが、個別に、我々の国において雇用可能性と雇用創出を改善するための新たなコミットメントを行っていることを示している。特に、我々は以下をコミットする。

16.各国は、それぞれの行動計画に示された措置を導入し、活力ある高齢化の概念を追求するとの決意を確認した。活力ある高齢化に関する措置は、高齢労働者の必要に適した職業形態を探求し、それに応じて職業を彼らにふさわしいものに適合させるべきである。

17.これらの措置は、健全な基盤に基づく衡平な成長を生み出すことに資する。我々はまた、成長、雇用及び社会的一体性の醸成を、G8のみならず世界中において支援するために、関連する国際機関等、特に、ILO、OECD及びIFIsにおいて、我々の原則と経験を共有したいと考える。我々は、国際的に認識されたコア労働基準に関する、シンガポール会議の結論並びにILO宣言及び実施メカニズムのための提案に従って、ILO及びWTO両事務局間の協力の継続を含め、かかる労働基準の実施に向けた世界的な進展に対する支持を新たにする。

薬物及び国際犯罪との闘い

18.グローバリゼーションは、国際犯罪の劇的な増加を伴ってきた。このことは、薬物及び武器の不正取引、人の密輸、窃盗、詐取及び脱法行為のための新たな技術の悪用並びに犯罪収益の洗浄等の多様な形態で現れている。

19.このような犯罪は、薬物により生活を破滅させ及び社会を組織犯罪の恐怖に置くことを通じ、我々自身の市民及び社会に対する脅威となっているのみならず、国際カルテルによる不法資金の投資、腐敗、制度の弱体化及び法の支配に対する信頼の喪失を通じ、社会の民主的及び経済的な基盤を損ないかねない世界的な脅威となっている。

20.この脅威と闘うためには、国際的な協力が不可欠である。我々自身、特に1996年のリヨン・サミット以来、そのような協力を改善する方途を追求してきた。既に多くのことが達成されてきた。我々は、国連、欧州連合及び他の地域グループにより行われている作業を認識する。我々は、国際組織犯罪に関する40の勧告を実施するためG8リヨン・グループによりとられた措置及び昨年12月のワシントンにおけるG8司法・内務閣僚級会合により発表された提案を歓迎する。我々諸国は、共同して行動することにより、犯罪者を捕らえカルテルを壊滅するためにお互いに支援している。しかしながら、更に多くのことがなされる必要がある。犯罪者にとってもその資金にとっても安全な楽園は存在してはならない。

21.したがって、我々は、この脅威に一層効果的に取り組むため以下の更なる多くの行動をとることに意見の一致をみた。

22.我々は、リヨングループに対し、現在進行中の作業を強化するよう求めると共に、ハイテク犯罪に関する行動計画、資金洗浄に対してとられる措置及び人の密輸に関する共同行動についての進捗を次回サミットに報告するよう我々の閣僚に求める。我々はまた、我々の環境大臣の間で4月5日に意見の一致をみた環境犯罪と闘うための措置を歓迎する。

23.薬物と広く国際及び国内犯罪との間には強い連関が存在する。我々は、来る国連麻薬特総を歓迎する。国連麻薬特総は、薬物問題に関するあらゆる側面に取り組むための包括的戦略を支持するとの国際社会の決意を示すべきである。G8としては、麻薬系薬物と闘うための国際社会におけるパートナーシップ及び責任の共有にコミットしている。このことは、薬物及び原料物質の不法な取引を抑止するための協力の強化、我々諸国において薬物依存を減少させるための政策を含む需要削減のための行動及び麻薬系薬物の栽培を根絶するためのグローバルなアプローチに対する支持を含むべきである。我々は、UNDCP(国連薬物統制計画)の、適切な場合には代替開発プログラムを通じて、麻薬系薬物の生産を根絶しあるいは大幅に削減するためのグローバルなアプローチを歓迎する。

不拡散と輸出管理

24.大量破壊兵器とその運搬システムの拡散は、あらゆる国の安全を脅かす。我々諸国は、拡散を防止するための努力の最前線にあり、我々は、国際的な不拡散体制を支援するために緊密に協力してきている。我々は、この協力を継続しかつ強化することを誓約する。この協力の鍵となる要素として、我々は、不拡散体制における我々の約束を遵守し、輸出管理の効果的な執行を確保するとの我々のコミットメントを再確認する。我々は、大量破壊兵器とその運搬手段のための計画に対してはいかなる種類の支援も拒否する。この目的のため、我々は、適切な場合には、法律、規則及び執行メカニズムの強化を図りかつ促進する。我々は同様に、我々自身の間及び他の諸国と共に、例えば情報交換を含む輸出管理に関する協力を強化する。我々は、我々の専門家が輸出管理の執行の強化に焦点を当てるよう求める。また、我々は、輸出管理における要件について我々の産業・ビジネス界の間の意識向上を図る。

2000年問題

25.コンピュータが2000年への変化を如何に処理するかに起因する2000年(あるいは千年期)問題は、国際社会に対して、特に、国防、運輸、電気通信、金融サービス、エネルギー及び環境各セクターにおいて、甚大な影響をもたらす重要な課題となっており、また、我々は、あるセクターは他のセクターに死活的に依存していることに留意した。我々は、更なる緊急の行動をとり、短期的かつより長期的に混乱の予防に資する情報を、我々自身の間で及び他の諸国と共に共有することに合意した。我々は、この問題に取り組む責任の多くを有するビジネス界及びこれらのセクターにおいて活動している諸機関と緊密に協力する。我々は、この極めて重要な技術的問題の解決及び2000年に向けた準備に資するため、途上国を支援する世界銀行やOECD等の国際機関において協力する。

次回サミット

26.我々は、来年6月18日から20日までケルンにおいて再び会合するとのドイツ連邦共和国首相の招請を受諾した。

1998年5月17日



(別添)


(北アイルランドに関する首脳声明/98.5.17)
(仮訳)

北アイルランド

 我々は、4月10日に達成されたベルファスト合意を心から歓迎する。我々は、北アイルランドのコミュニティにおける双方の基本的な願望を反映し、彼らの権利を確保する成果の達成に関与したすべての人々を賞賛する。我々は、この合意が北アイルランド及びアイルランド共和国の人々の支持を勝ち取らなければならないことを認識する。我々は、それがすべての当事者に対して課題を提起することを認識しつつ、それが、すべての北アイルランドの人々にとって、政治的安定と平和の基礎としてのみならず、経済発展と繁栄の機会として、可能な最大限広範な支持を得ることを希望する。我々は、このプロセスに対する我々諸国の支持を誓約する。


(地域情勢に関する首脳声明/98.5.15)
(仮訳)

インドネシア

 我々は、インドネシアにおける情勢、特に、今般の暴力の高まりと人命の損失を深く懸念する。我々は、死者の発生を遺憾とし、当局に対し、最大限の自制を示し、殺傷力の行使を控え、個人の人権を尊重するよう求める。我々は民衆に対し、意見を平和的に表明するよう要請する。暴力の高まりを回避することが不可欠である。

 我々は、経済危機のもたらした困難を認識している。我々は、国際金融機関との間で合意され、支援を受けている経済改革プログラムは、信認と成長の回復のための唯一の方法であると信じており、政府がこれを履行することを完全に支持している。しかし、経済改革が成功し、これに対し国際的支持が得られるには、十分な政治的・社会的安定が必要であろう。我々は、改革を支援し困難を軽減するため、国際金融機関と共同で、取組みを継続する。

 現在の社会的騒擾は、危機を解決するためには、政治的及び経済的改革が必要であることを示している。インドネシアでは政治的改革の必要性は広く認識されている。我々は、当局に対し、インドネシアの民衆の願望に応える対話を開始し、必要な改革を行うことにより、迅速に対応するよう慫慂する。


(地域情勢に関する首脳声明/98.5.15)
(仮訳)

ユーゴスラヴィア連邦共和国(FRY)/コソヴォ

 コソヴォにおいて暴力が継続していることは、新たなバルカン戦争の恐怖を復活させている。この地域は既にあまりに多くの流血をみている。コソヴォ問題の政治的解決は、同地域の全ての人々の平和と福祉にとって死活的に重要である。我々は、5月15日に行われたミロシェヴィッチ大統領とルゴヴァ氏との会談が、肯定的な第一歩であると考える。ミロシェヴィッチ大統領が、コソヴォの将来の地位を含め、コソヴォ問題の解決の模索にあたり個人的責任を負うことが特に重要である。我々は、双方に対し、現在開始された対話が、緊張の緩和と暴力の停止のための具体的措置の採用に早急に至ることを確保するよう求める。コソヴォの地位問題の解決は困難であるが、ユーゴスラヴィア連邦共和国(FRY)に住む人々すべてのために不可欠である。

 欧州の平和と安定は、国境が不可侵であり、また、政治的変化は平和的手段によってもたらされねばならないとの原則に依拠している。我々は、いかなる側に対しても、政治的目的を達成したり、また、反対意見を圧殺するためにテロリズムと暴力を用いることを拒否する。この地域の諸国は、危機の非暴力的解決に貢献すべきである。すべての諸国は、難民及び避難民問題に対処するに当たり協力すべきである。

 我々は、ゴンザレス・ミッションとの協力の重要性を強調する。我々は、FRYの国際社会への完全な統合に向けた明確かつ達成可能な路線を促す用意がある。しかしながら、仮にベオグラードが、最近の進展を踏まえることなく、真の政治プロセスが進行しなければ、その孤立化は深刻化する。

 5月31日のモンテネグロの選挙は、自由、公正かつ民主的基準を満たしたものである必要があり、その結果はすべてのものにより尊重されなければならない。


(地域情勢に関する首脳声明/98.5.15)
(仮訳)

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ

 我々は、ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおいて最近和平履行に進展がみられたことを歓迎し、和平プロセスを推進する上での上級代表の積極的な役割を支持する。本年は、ボスニアにおける和平の安定化、特に、難民の帰還及び9月に予定されている全国的な選挙による民主的発展にとって極めて重要な年である。ボスニアの人々は極めて困難な状況の下で、多くのことを成し遂げたが、我々は、ボスニアの指導者が、自国のすべての市民にとって安定した豊かな未来を構築するために一層努力することを期待する。


(地域情勢に関する首脳声明/98.5.15)
(仮訳)

中東和平プロセス

 我々は、和平プロセスが、既存の合意が履行されることなく停滞し続けていることにつき深く憂慮している。我々は、和平プロセス再活性化のためのあらゆる努力を慫慂する。我々は、イスラエルの第二次再展開を含む、すでに米国より提示された建設的かつ現実的な提案のパッケージについて両当事者の合意を得るための努力を強く支持する。我々は、すべての当事者に受け入れられれば最終的地位交渉の再開につながることとなるこれらの提案に対しパレスチナ側が原則として合意していることを歓迎する。我々は、イスラエル及びパレスチナの指導者に対し、最終的地位交渉を先取りし信頼を阻害するような一方的措置をとることを避けるよう要請する。我々は、包括的和平に向けて、イスラエル、パレスチナ、シリア、レバノンのすべての当事者と引き続き協同する決意である。イスラエル・パレスチナ交渉の再開は地域における信頼を醸成し、和平プロセス全体のモメンタムを回復するのに資するであろう。他方、交渉の中断が継続すれば、地域全体の安全保障に深刻な結果をもたらしかねない。


(地域情勢に関する首脳声明/98.5.15)
(仮訳)

インドの核実験

 我々は、インドが5月11日及び13日に核実験を実施したことを非難する。こうした行動は、CTBTの149の署名国により表明された核実験を行わないとの意思に逆行し、世界的な不拡散体制を強化しようとする努力に逆行し、また、地域的及び国際的な平和と安全を増進しようとする措置に逆行するものである。この行動は、各国政府から及びより広範に、即座の国際的な懸念と反対をもって受け止められている。我々は、世界的な不拡散体制の基本であり、核軍縮推進の不可欠の基礎となっている核兵器不拡散条約(NPT)及び包括的核実験禁止条約(CTBT)に対する我々の完全なコミットメントを強調する。我々は、南アジア及びその他地域における核及びミサイル拡散の危険が増大したことに深い懸念を表明する。我々は、インド及び地域のその他の諸国に対し、これ以上の核実験や、核兵器及び弾道ミサイルの配備を行わないよう求める。我々は、インドに対し、国際世論の大勢に従い、無条件にNPT及びCTBTに従い、核兵器に必要な核分裂性物質の生産を禁止する世界的な条約交渉に参加するよう求める。我々それぞれとインドとの関係はこれらの展開により影響を受けた。我々はインドとの直接の交流及び関係においてこのことを明らかにしており、我々は他の諸国にインドに対する懸念を同様に示すよう要請する。我々は、パキスタンに対し、今次核実験実施に際して最大限の自制を保つよう、また、国際的な不拡散規範に従うよう要請し、これを慫慂する。

1998年5月17日

出典: 日本政府


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