University of Toronto G8 Information Centre

首脳会議・閣僚会議

リヨン サミット

経済コミュニケ -すべての人々のためにグローバル化を成功させる- (仮 訳)

1996年6月28日
外 務 省


 
前 文

I.
経済及び通貨協力の強化

II.
貿易及び投資の強力で互恵的な拡大の促進

III.
雇用問題への取組みの強化

IV.
開発のための新たなグローバル・パートナーシップの実施

:21世紀に向けての抱負

V.
開発のための多数国間機関の実効性の向上

VI.
開発のための必要な多数国間支援の供与

VII.
移行諸国の世界経済への統合の成功に向けて



前 文

1.
 我々主要先進民主主義7カ国の元首及び首相並びに欧州共同体委員会委員長は、第22回サミットのため、リヨンで会合した。我々は、経済のグローバル化の進展がもたらす様々な恩恵と挑戦について考察するとの見地から議論を行った。

2.
 今日の相互依存の世界においては、経済の成長と発展はグローバル化の過程と深く結びついている。グローバル化は、我々のみならず他のすべての国々にとっても、将来への大きな機会を提供するものである。その多くの積極的側面には、投資と貿易の未曾有の拡大、世界で最も人口の多い諸地域の国際貿易への開放及びより多くの開発途上国がその生活水準を向上させる機会、ますます速くなる情報の伝播、技術革新、そして熟練を要する職業の急増が含まれる。このようなグローバル化の特徴は、世界の富と繁栄の相当な拡大をもたらすに至った。したがって、我々は、グローバル化の過程は将来への希望の源泉であると確信している。生活水準の向上が、ひとえに、貿易、国際投資及び技術進歩からの成果をつかみとるか否かにかかっていることを歴史は示している。

3.
 またグローバル化により、社会と経済は様々な挑戦に直面している。その恩恵は、競争の激化に対して各国が適切に対応しなければ実現しないであろう。より貧しい国々においては、グローバル化は不平等を広げることとなるかもしれず、また世界の一部の地域は疎外されていく可能性がある。しかしながら、必要とされる調整は、急速かつ時に痛みを伴う構造改革を強いることとなるため、その影響により、我々の幾つかの国においては、一時的に雇用情勢が悪化する可能性もある。金融市場のグローバル化は不安定という新たな危険を生み出し得るため、すべての国が健全な経済政策と構造改革を推進することが必要となっている。

4.
 我々は、自由化とグローバル化の進展に決定的な貢献を行ってきた。我々は、この過程が自ら引き起こした期待に十分応え、また、グローバル化が、人々の利益、彼らの雇用と生活の質に資することを確保するため、最善を尽くさなければならない。この過程が人々にもたらす潜在的な恩恵は、我々自身の社会と世界のより貧しい諸国において、真の機会を提供するものとならなければならない。ますます相互依存の進む世界において、我々すべてが認識しなければならないのは、経済成長の恩恵をできるだけ広く及ぼすこと、また、我々自身の経済において個人又は集団を疎外し、あるいはグローバル化の恩恵から一部の諸国又は地域を疎外する危険を少なくすることに、我々は利害を共有しているということである。

5.
 そのためには、一層の国際協力が必要である。種々の国際的な制度の仕組みを改善すること、市場の自由化、公正なルールとこれを新たなプレーヤーにも及ぼすこと、様々な規模と特色を有する危機に対応する能力、及び経済の低開発の苦難から脱却しようと苦闘している国々の努力を支援する用意があることなどが、将来の発展のために必要であろう。我々は、資金的能力があり国際貿易及び通貨制度に利害関係を有している他の諸国に対し、我々の間で、そして他の国々と共に責任と負担を公平に分担するために我々と共にこのような努力を行うよう呼びかける。そうすれば、我々は、すべての人々のためにグローバル化を成功させることができるであろう。



I.経済及び通貨協力の強化

6.
 国際経済の相互依存関係の増大は、紛れもなく国際社会全体にとって新たな機会を提供している。しかし同時に、それによって我々の共同の責任は増え、また、新たな課題に立ち向かうための我々の間のより効果的な協力が一層必要となっている。

7.
 ハリファックスで我々が会合して以来、経済の動向は概ね前向きであり、我々の間の経済パフォーマンスの格差は狭まってきている。カナダ及び米国は、持続的なインフレなき成長を享受し続けている。日本においては、景気回復が力強さを増している。欧州の幾つかの国は、明らかに景気の減速を経験したものの、経済の基礎的諸条件は改善しつつあり、経済成長が本年の下半期には上向きになることを我々は確信している。
 今後を展望すると、経済の基礎的諸条件は、引き続き、健全で、良い方向に向かうものと見られる。すなわち、インフレは低い水準に落ちついており、金利は大幅に低下して我々の中には歴史的に低い水準に達している国もあり、また、内外不均衡は大幅に縮小した。しかしながら、我々は、依然として幾つかの困難な問題が存在することも認識している。すなわち、引き続き財政赤字及び公的債務は過大で貯蓄は過少であり、失業は多くの国々において依然として受け入れ難いほど高く、構造改革の分野において既に達成されたあらゆる進展にもかかわらず、我々の経済は、未だに変化に対して本来あるべき強靱さと適応力を持つに至っていない。
 G7の外においても、経済の見通しには非常に心強いものがあると見受けられる。新興経済は力強い成長を経験し続けている。健全なマクロ経済政策と市場に基づく制度に向けての進展は、多くの開発途上国及び移行諸国の経済パフォーマンスの改善に貢献してきている。


8.
 この文脈で、我々の経済政策は引き続きインフレなき成長を持続することに向けられることとなるであろう。これは、雇用の創出と失業の低下のために死活的に重要な前提条件である。それぞれの国における状況は異なるかもしれないが、我々は中期的な経済戦略に対する共通のコミットメントを有している。すなわち、信頼できる財政健全化計画、成果の上がるようなインフレ抑制政策及びその結果としての低金利並びに一層の構造改革である。これらは、投資、成長及び雇用創出に貢献することとなろう。このような政策は、対外不均衡を縮小させ、それにより国際通貨制度の安定を促進し、世界の貿易と商業活動の調和のとれた発展のための条件を維持することに貢献することとなろう。

9.
 世界経済における不確実性を高め、貿易と成長を損ないかねない為替レートのミスアラインメントを予防する上で、健全な経済政策は、最も重要な基盤である。我々は、1995年4月以降の主要通貨における大筋の動向を歓迎する。これらは前向きで希望を持たせる展開であり、G7諸国を通じて持続的成長のための条件を改善するのに役立つものであった。我々は、国際通貨制度の安定に関する我々の蔵相の見解を支持する。我々は、蔵相に対し、経済政策に関し、そして為替市場において引き続き緊密に協力するよう要請する。この関係で、我々は、国際金融市場の活動に関連する危険に対処するために、改善された実際的な措置を実施することを重視しており、閣僚に対し、この問題につき次のサミットに報告するよう要請する。

10.
 金融市場のグローバル化は、より複雑な金融環境を創り出す一因となった。金融市場における健全性確保のためのより良い規制と監督は、国際通貨及び金融制度の安定を保持していくうえでの不可欠の要素である。この関連で、我々は、銀行が市場リスクに対応するための適正な自己資本比率に関する最近の合意、情報公開の改善及び監視の向上を含む自己資本比率の強化についての進展を歓迎する。

11.
 規制及び監督当局の間の協力は、金融面の革新並びに越境資本移動及び国際的に活動する金融機関の増加に引き続き適応していくべきである。我々は、銀行及び証券の規制に関わる国際組織が達成した作業を歓迎する。これからの1年間に、我々は、次に掲げる目標について最大限の進展を得るように努力すべきである。

特にその役割と責任を明確にすることにより、国際的に活動する金融機関の監督に責任を有する当局間の協力を強化させること。

特に革新的な市場において、危険管理を一層強化し、市場及び関連活動の透明性の向上を奨励すること。

新興経済における健全性確保のための強力な基準の採用を奨励し、それらの監督当局との協力を強化すること。国際金融機関・組織は、これらの経済において効果的な監督の仕組みの構築を促進する努力を強化すべきこと。我々は、蔵相に対し、関連の機関と協議の上、次回会合においてこの問題につき報告するよう要請する。

小売電子決済の洗練された手段を創り出すことを可能にする最近の技術的進歩の意味合いやその恩恵が十分に実現することを確保する方法につき研究すること。

12.
 世界の資本市場の一層の統合、資金フローの規模及び構成の変化並びに債権者と借り手の多様性と数の増大は、新たな機会と新たな課題を提示している。このような理由で、通貨の安定を促進するため、我々は昨年ハリファックスにおいて、国際金融制度、特に国際通貨基金(IMF)がこれらの課題に効果的に対処する能力を強化するために、幾つかの措置を提案した。
 我々は、ハリファックス・サミット以来これらの提案の実施に向けて成し遂げられた作業を歓迎する。IMFの監視能力は向上し、経済と金融の情報を市場に提供するための基準が確立され、緊急融資メカニズムが創られた。我々は、借入国の流動性危機の解決に関するG10の報告書を歓迎する。この報告書は市場の規律の重要性を強調し、将来の公的支援の必要性を最小限にするため、国際金融危機を扱うための現在の手続を強化するよう求めている。

13.
 国際社会全体と共に、我々は、IMFが国際的な通貨の安定のための任務を遂行するために必要な資金源の確保に努める。

我々は、金融危機に対応するために一般借入取決めの下でIMFが現在利用可能な資金を倍増する枠組みについて合意に達したことを歓迎する。これらの取決めには、国際通貨制度を支える能力のある、より広いグループの諸国が含まれることとなろう。我々は、我々の協力を新たな経済環境に適応させることとなる、通貨に関するこのような責任の分担を歓迎する。

IMFは、その伝統的な任務を遂行するために必要な資金を提供するクォータに基づいた機関であり続けるべきである。いかなる増資も、加盟国の経済的、金融的な比重の変化を勘案すべきである。IMFの流動性の予想される展開にかんがみ、我々は、第11次増資が可能な限り早期に完了するよう要請する。

14.
 最後に、IMFは国際通貨制度の中における特別引き出し権(SDR)の役割につき引き続き十分に検討すべきである。我々は、すべての加盟国が衡平な基礎の上にSDR制度に参加できるようにする提案につき進展があることを引き続き希望する。我々は、この問題を解決するために、IMF加盟国が対話を推進するように促す。

15.
 我々が昨年認識したように、国際的な金融詐欺は、我々の金融制度にとって大きな問題となりつつある。この現象に対する闘いを強化するため、我々は、我々自身の国内法制度及びその他の基本的原則に従って、法執行機関と規制当局の間で、深刻な金融犯罪及び規制の悪用に関する事例についての情報交換を可能な限り促進する方途を引き続き探求していく。我々は、この分野における進展と動向を点検するための対話を維持していく意向である。

16.
 最後に、グローバル化は、租税政策の分野で新たな課題を生み出している。金融その他の地理的に移動可能な活動の誘致を目的とする税制に見られるような税に関する国家間の有害な競争は、貿易と投資を歪曲する危険があり、各国の課税基盤の浸食につながり得る。我々は、OECDに対し、各国が、個別にまた共同で、これらの慣行や税に関する様々な形態の有害な競争の範囲を制限し得るような多国間のアプローチの確立を目指し、この分野における作業を精力的に推進するよう強く要請する。我々は、1998年までに報告書を作成することになっているOECDによる作業の進展を注意深く見守っていく。我々は、また、移転価格税制に関するOECDにおける重要な作業の継続を注意深く見守り、そのような作業においてOECDが既に達成した顕著な進展を心から支持する。

17.
人口高齢化の経済的、財政的影響という課題に立ち向かうために、我々は、引き続き、我々の社会保障制度の持続可能性を確保していく決意である。



II.貿易及び投資の強力で互恵的な拡大の促進
18.
 拡大する貿易と投資は、世界の富と繁栄の顕著な増大をもたらしてきたが、将来もそのような役割を果たし続けるべきである。貿易と投資の拡大は、強力で多角的なルールの枠組みの中で行われれば持続可能となるので、誰にとっても大きな恩恵をもたらすこととなろう。

19.
 我々は、高水準の投資保護及び自由化並びに効果的な紛争解決を提供する投資に関する多数国間協定をOECDにおいて策定することに高い優先度を与えている。我々は、この交渉が1997年6月までに成功裏に終結することを期待する。

20.
 我々は、効率的で、かつ、活力があり、尊重される開放的な多角的体制に高い優先度を与えている。我々は、WTOの中心的な役割と多角的なルールの優越性を再確認する。そのような多角的なルールは地域的イニシアティブの枠組みとなるべきものである。我々は、WTOのルール及びOECDのコードに反する貿易・投資措置の実施を避けることにより、また、意見の相違が生じた際には、適用可能な協議及び紛争処理規定を使用し、遵守することによって、多角的貿易体制の信認及び信頼性の強化に取り組む決意を再確認する。我々は、二国間又は地域的な自由貿易協定は、貿易を自由化し、かつ、実質的に全ての貿易を対象とすべきであることを強調する。
 我々は、ウルグァイ・ラウンドの終了時に合意されたコミットメントの厳格な実施とタイムテーブルの正確な遵守を引き続き監視する。WTOのルールに従い、かつ相当程度の自由化コミットメントに基づき、我々はWTOへの新たなメンバーの加盟を支持する。

21.
 我々は、持続可能な成長及び開発の不可欠の要素として、開発途上国を世界の貿易制度に統合することの重要性を認識している。我々は、開発途上国、特に後発開発途上国がウルグァイ・ラウンドの成果からより十分に恩恵を得られるように支援する方途につき意見の一致をみた。

22.
 我々は、我々のパートナーと共に、1996年12月のWTOの第一回閣僚会議の成功に向けて努力していく。我々は、合意されたタイムテーブルに従い、ウルグァイ・ラウンドの成果の完全かつ効果的な実施を確保する。我々は、サービス分野におけるすべての継続交渉を完了させ、また、金融サービスにつき、相当程度の、バランスの取れた無差別の自由化コミットメントを1997年12月までに得られるよう、シンガポールで協議を再開する決意である。
 我々は、互恵的な情報技術協定の締結を強く支持する。

23.
 貿易の世界的な自由化と高水準の環境保護は、相互支持的であるべきである。例えば、WTOルールと多数国間環境協定とエコラベリング計画が補完的であることを確保することは重要である。WTOのシンガポール閣僚会議は、環境保護、それにより持続可能な開発への配慮を多角的貿易体制の中に統合する能力と意思を示す重要な機会となろう。我々は、マラケシュで打ち出された現行の作業を歓迎し、シンガポール閣僚会議が行動のための実質的な勧告を行うことを期待する。

24.
 ウルグァイ・ラウンド合意の完全な実施を追求することに加え、我々は、以下のとおり、WTO閣僚会議がその取り扱う事項を広げ、貿易及び投資の自由化に特別な重要性を有する課題を含めるよう促す。

WTOにおける貿易と投資に関する検討を開始し、交渉の可能性を含み得るコンセンサスに向けて作業を行うこと。

どのように取り進めるかを決定するため、貿易と競争政策の間の相互作用につき討議すること。

コンセンサスによって合意される分野の鉱工業品の関税に関する新たなイニシアティブの可能性を探求すること。
 また、我々は、貿易と国際的に認知されたコア労働基準の関係についての問題に取り組みたいとの意向があると認識している。
 我々は、また、依然として市場へのより自由なアクセスを深刻に阻害している他の障壁が存在する分野において、更になすべきことがあると信じる。特に、

一層の規制制度改革並びに試験及び認証のための手続の相互承認により、国内基準と国際規範の間の一層の収斂を奨励すること。

政府調達協定の規律を強化し、同協定に同意する国の数を拡大し、また、この目標の追求のため、政府調達慣行における透明性、開放性及び適正手続に関する暫定取決めを策定すること。

知的所有権に関する規律を効果的に執行し、一層充実させること。

25.
 貿易の自由な流れに資するために、我々は、我々の間で税関手続を一層標準化し簡素化するための努力を開始する。文書の画一化と電子的手段による送信の基準ができれば、企業と政府にとって経費は削減され、貿易と開発への障壁が除去されることによりWTOにおける努力が補完され、もって成長が促進されることとなろう。

26.
 最後に、我々は、国際商業取引における汚職と闘う決意である。そのような汚職は、透明性と公正さを阻害し、経済的及び政治的に重いコストを強いるものである。そのような贈賄を効果的かつ協調的な方法により犯罪化するとのOECDにおける閣僚のコミットメントに従い、我々は、OECDが犯罪化に資する方法及び適切な国際的手段を更に検討し、1997年に行動のための提案を考慮するよう求める。

27.
 シンガポール閣僚会議以降を展望し、また、我々の次回会合が多角的貿易体制の創設50周年の直前に開催されることを認識しつつ、我々は、貿易の自由化に継続的な弾みを与えるために我々のパートナーと協力していく決意である。


III.雇用問題への取組みの強化
28.
 よりグローバルな経済の発展と情報技術における進歩は、経済成長と繁栄の原動力である。しかし、これらはまた、一部では疎外と不安定の源泉と見られているかもしれない。我々の課題は、我々のすべての国民が新たな世界経済によって創り出された機会の恩恵を受けられるように、我々の経済が適応できるようにすることを確保することである。我々は、経済成長と幅広く共有された繁栄をともに達成しなければならない。失業の削減と質の高い雇用の創出は、喫緊の優先課題である。我々は、これらの目標を達成するための民間部門の決定的に重要な役割を認識している。


29.
 我々は、成長と雇用の促進を目標とする政策の実効性を高めるよう努力する。そのためには、健全なマクロ経済政策の枠組みの中での広範な構造政策上の措置が必要である。我々は、リールでの雇用問題に関する閣僚会議において出された結論を歓迎し、以下の政策を追求することで意見の一致をみた。

我々は、人材への投資が資本への投資と同様に死活的に重要であるとの我々の信念を再確認する。そのため、我々は、生涯にわたる事業であるところのしっかりとした基礎教育、技能育成及び訓練並びに学校から職場への移行の改善に特別の注意を払うこととする。

我々は、社会からの疎外を阻止し、これと闘う決意である。我々は、一つの仕事から別の仕事への移行を容易にすることにより、労働期間全体を通じて人々の雇用可能性を補強するための方法を明らかにしなければならない。

我々は、それぞれの国の具体的な状況に従いつつ、高水準の雇用と幅広く共有された繁栄を達成することを目標とする実際的な改革を実行することを誓う。これには、特に最も恵まれない人々にとって「労働は報われる」ことを確保するための税制及び社会制度の改革、間接的な労働コストの高い国において低技能労働の職業への重荷となる社会保障費の軽減、公営の職業紹介所の改善が含まれる。

我々は、企業家精神を育成するために、モノ・サービスの市場において必要に応じ規制の枠組みを近代化し、それによって我々の経済が急速な変化に対応する能力を向上させ、また雇用の創出を促進することとする。我々は、OECDによる規制制度改革についての作業を歓迎し、その結果に期待する。

我々は、特に中小規模の企業へ向けて、豊富で質の高い雇用を創出している新たな技術の普及を促進する。

30.
 我々は、リール会議への質の高い貢献につきILO及びOECDに感謝する。我々は、これら二つの機関が、特に、マクロ経済政策と構造改革との間の相互作用に関する作業並びに最優良企業における技術、革新及び人的資源への投資の分野での「最善の慣行」に関する作業を継続し、また、社会の中の最も脆弱な労働者に対し雇用機会を拡大するための政策を継続することを強く希望する。

31.
 我々は、雇用問題について更に掘り下げた検討を行うために開催が提案されている日本での会合を歓迎する。


IV.開発のための新たなグローバル・パートナーシップの実施
 :21世紀に向けての抱負


32.
 健全な国内経済政策及びますますグローバル化する経済のおかげで、多くの開発途上国は、国際貿易及び資本流入への関与の拡大に支えられつつ、堅固な成長を経験している。しかし、これらの国々と、現在のところこうした機会から恩恵を得ることができず一層の遅れをとっている低所得国を中心とする国々との間では格差が拡大している。

33.
 このため我々は、開発途上国、先進国及び多数国間機関の間の新たなグローバル・パートナーシップを明確にする必要がある。これには、開発援助、その内容、開発援助を供与する二国間及び多数国間の手段を含む開発政策について、新鮮な捉え方が必要とされよう。

34.
 この新たなパートナーシップは、その発展段階がいかなるものであれ、すべての開発途上国がグローバル化の恩恵を分かち合い、それに参加することができるようにすることに狙いを定めるべきである。そのためには、この新たなパートナーシップは、持続可能な開発の達成を基本的な目的とすべきである。また、目標としては、貧困と社会的不衡平の削減、国際的に認知された労働基準の尊重、児童の保護、市民社会の強化、環境の保護、健康及び教育の改善が含まれるべきである。

35.
 我々は、このパートナーシップが具体的な成果を達成することを求める。我々は、特定の諸国において、極端な貧困、幼児、児童及び母体の死亡率並びに初等教育といった分野において開発目標に向けての進展を計測できる指標の有用性を強調する。いくつかの計測不能な定性的な要因を含め、開発のその他の不可欠な側面も考慮されなければならない。我々は、この問題に関するOECDの現在進められている作業を歓迎する。

36.
 開発のための新たなパートナーシップは、互恵的であるべきであり、かつ、すべての関係者の間の連帯の精神と負担の分かち合いに基づくものでなければならない。

開発途上国は、自らの開発の促進について基本的な責任を有している。これは、健全で一貫した経済・社会政策をとり、民間部門の発展に資する政治的・法的環境を整備し並びに内外の投資を奨励することを意味する。民主主義、人権及び良い統治は、開発の不可欠な要素である。社会・経済開発計画に資金を割り当てることや非生産的な支出を避けること、特に、自衛の権利を害することなく過剰な軍事支出を避けることに優先度を与えることは、開発途上国自らに委ねられている。多角的制度に積極的に関与し地域協力を促進することは、これらの諸国にとっての利益となるものである。

先進国は、共通の目的と効率性の精神で開発途上国の努力を支援しなければならない。先進国の成長と市場開放政策は、開発途上国にも恩恵をもたらすものである。先進国は、これらの政策を実施するに際し、貿易及び民間資金フローが開発途上国の方向に向かうことを促進するような環境を創り出すことに努めるべきである。二国間の投資保護協定や一般特恵措置は、この目的に資するものである。我々は、相当規模の公的援助の流れを確保し、このような援助の質を改善するとの決意を新たにする。負担がより平等に分担されるようにするため、国際社会全体がこのような努力に動員されるべきであり、新たなドナーがより大きな責任を負うべきである。

多数国間開発機関は、相互の間で、また、二国間ドナーとの間で協力しつつ、開発を促進する上で、また、開発途上国が貧困を削減し、健全な経済政策を実施し、その能力を向上させることを奨励する上で重要な役割を果たしている。これらの機関は、このような目的のために、十分かつ適切な財源を与えられなければならない。これらの機関の活力は、すべての加盟国の積極的な参加に依存している。開発途上国における非生産的な支出を抑制しようとする多数国間機関の努力は推進され、また援助供与国によりそれぞれの二国間援助や信用供与において支持されるべきである。

37.
 この新たなパートナーシップの枠組みにおいては、優先課題は、より効果的に目標設定がなされた政策を実施することでなければならず、それは以下の4つの補完的な目標を有する。

対外的な資金援助に当たっては、移行諸国、新興経済及び最貧国の間の差異を十分に考慮すべきである。サハラ以南アフリカの諸国は、引き続き異常に厳しい課題に直面している。我々は、これらの諸国の政策プログラムが信頼できるものであり、それぞれの政府がその実施に十分な決意を有しているとの事実にかんがみ、資金を最も必要として、かつ資金を有効に利用することのできるこれらの国々にそれを集中させることとする。贈与及び譲許的な資金供与は、国際資本市場に全くアクセスを有していないか又はアクセスの限られている最貧国がそうした資金を有効に利用する状況をつくり出すとの決意を示すことができ次第、主としてそうした諸国の資金需要を満たすことに向けられるべきである。
持続可能な開発と貧困の軽減をより明確に優先すること。これは、健康及び教育、基礎インフラ、清浄な上下水道計画、環境保全、零細企業、並びに例えば国際農業開発基金(IFAD)の支援を得た農業研究及び小規模農業などの極めて重要な部門に適切なODA資金を供与することを意味する。

我々は、中小企業を基本に開発途上国において活力あるかつ競争的な民間部門の確立を支援すべきである。ODAは、そのような民間部門が繁栄する状況をつくり出すために触媒的な役割を果たすことができる。

最後に、開発に影響を与えるあらゆる種類の政策手段を用いて、後発開発途上国を世界経済に一層統合していくこと。ウルグァイ・ラウンド協定から生じた多角的な環境の中で、これは極めて重要な目標たるべきである。我々は、例えば投資、民営化、輸出多角化の分野における技術支援の要請に好意的に対応することにより、また国際的な組織や計画において同様の措置がとられるよう奨励することにより、そのような統合を達成しようとする後発開発途上国の努力を支援するものである。我々は、後発開発途上国のための措置に関するマラケシュ決定の諸条項を実施する。このような文脈において、我々は、我々の市場に対するこれらの諸国のアクセスを改善するためにそれぞれ何ができるかを検討し、開発途上国を含め他の諸国に対しても同様のことを行うよう奨励する。


V. 開発のための多数国間機関の実効性の向上

38.
 開発のためのこのグローバル・パートナーシップを効果的に支援するために、多数国間機関は適応と改革の努力を推進しなければならない。我々は、過去一年間に機構改革に対する幅広い支持が生まれてきたことを歓迎し、このモメンタムの増大を促進していく決意である。

39.
 一年前ハリファックスにおいて、我々は、国際金融機関の間の協調を一層図り、重複を減らし、実効性を高めるためにその改革を求めた。過去一年間にわたり、改革の努力は強化された。開発委員会の改革により、先進国と開発途上国の閣僚が種々の問題を一緒に検討し、国際金融機関に対してガイダンスを与えることができるようになった。世銀とIMFは、例えば債務と公共支出に関する共同研究において、一層緊密な協力を行って目に見える成果を生んでいる。多数国間開発銀行の長の間では協力が強化されてきた。業務上も組織の運営上も改革は進行中であるが、その効果的な実施振りに注意が向けられなければならない。
 我々は、多数国間開発銀行が調達手続の透明性を高めるために行っている作業を評価する。我々は、すべての多数国間機関が、良い統治の促進と腐敗した商慣行の削減に資する改革を支援するための努力を行うよう奨励する。
 開発関係の銀行を改革し、経費を更に削減しつつ現場においてより良い成果を達成するには、継続的な努力が必要である。我々は、銀行間のあらゆるレベルでのより緊密な協力を求める開発委員会タスク・フォースの勧告を支持する。

40.
 ハリファックスにおいて我々は、国連システムにおいて進行中の改革のプロセスを広げまた深めるよう奨励することにコミットした。我々は、様々な開発活動の受け手が目に見える利益を得られるようにするため、効率性の向上に必要な前提条件としてシステムを変革しなければならないとの認識を高めることに、我々のイニシアティブが大きく貢献したものと確信する。
 我々は、特に、ミッドランドにおける第9回UNCTAD総会の結果を評価する。そこでは、我々は、すべてのパートナーとともに、国連の経済社会分野の改革にとっての重要な参考とも見なし得る徹底的な改革に向けた道を開くことに成功した。また、我々は、経済社会理事会(ECOSOC)の調整機能を強化する最近の決定は重要であると考える。我々は、国連の地域経済委員会がイニシアティブをとり、自らの活動を審査し、優先順位を調整し、計画を再構成し、職務体制を再組織することにより効率性と費用対効果を高めることを目指していることを歓迎する。
 我々は、開発における国連の役割を合理化し強化するために、その改革を迅速に進めるべく他の加盟国と協力していく。

41.
 持続可能な開発のための国際協力を結集する上で、また、開発目標と政策についてのコンセンサスを醸成する上で、国連は、決定的に重要な役割を果たしている。
 国連の優先分野は、特に、貧困の削減、雇用、住居、必要不可欠なサービスの供給、中でも特に健康と教育に関係するもの、女性の地位向上と児童の保護及び人道支援一般である。
 国連はまた、民主主義、人権及び法の支配、環境保護、緊急援助と紛争後の安定化を促進し、また、最貧国が国際貿易と投資に参加できるようにするための技術支援を促進するために、基本的な役割を有している。

42.
 開発の分野においてより効果的であるためには、国連はその役割と比較優位のあるところを明確にしなければならない。国連は、事務局及び業務上の枠組みについて効率性を高め、相互により整合的なものとし、あらゆるレベルにおいて真の意味での調整を確保しなければならない。このための提案は、既存の制度に焦点を当て、国連改革に関するさまざまな議論において出てきたアイデアを基礎にすべきである。

43.
 改革は、次の主要点を中心に進めることができよう。

開発を担当する3部局を1人の事務次長の権限の下に統合すべきである。

経社理の政策形成と調整に関する役割を強化するために、前述の開発担当の事務次長は、特に、経済社会理事会の事務上の責任者の役割を果たすべきである。

国連事務総長は、開発担当の事務次長と国連内部監査局の長の支援を得て、また各機関の長と協力しつつ、開発に関わる専門機関と委員会の役割と任務を緊急に再検討し、これらの機関の間の重複を取り除き、実効性を高めるべきである。このような再検討には、これらの機関の開発に関する機能を統合することの利点についての検討も含まれるべきである。事務総長はこのための勧告を行い、行政調整委員会や経済社会理事会を通じてその実施に努めるべきである。

開発担当の事務次長は、任命後直ちに、各関係機関の長と緊密に協議しつつ国連の開発のための既存の基金と計画の再検討を行うことにより、再検討の過程を支えていくべきである。合理化すべきであるとの強い根拠がある場合には、基金や計画をUNDPに統合すべきであり、それによってUNDPは強化されることとなろう。

また、開発担当の事務次長は、重複を排除することを目指して、IMF、世銀、OECDというような経済分析に携わる他の機関と協議して、国連の経済分析及び報告の合理化を鋭意推進していくべきであ る。

国連の現地事務所及び現場の運営体制を更に強化し、UNDP、UNFPA(国連人口基金)、UNICEF(国連児童基金)の国別計画の承認のタイムテーブルを一致させるべきである。

費用対効果の向上により節約される経費は開発事業に再投資されるべきである。事務総長は、この目標を実施するための方途を研究すべきである。

44.
 第9回UNCTAD総会はUNCTADを刷新するに当たって主要な里程標であった。我々は、他の加盟国との緊密なパートナーシップの下に、UNCTADの政府間機構を改革に成功するとともに、開発途上国の国際貿易体制への統合に資するべく貿易と投資を通じて開発を促進するためにUNCTADの活動の焦点を少数の優先課題に絞り込むことに成功した。我々はこれらの改革の実施にコミットしている。後発開発途上国はこうした行動の主たる裨益者となるであろう。また、我々は、WTOと刷新されたUNCTADが、それぞれの任務に然るべく配慮しつつ、相互の協力を強化するイニシアティブをとっていることを歓迎する。

45.
 我々は、国連の諸機関、国際金融機関、WTOの間で一層の協力が行われるよう求める。

国連事務総長、IMF専務理事、世銀総裁、WTO事務局長の間で、また、他のレベルで定期的な会合を持つことにより、これらの機関が調整されかつ協調的な行動をとることを確保できよう。一層緊密な協力を行うにあたっては、各々の機関が比較優位を有する分野に集中し、不必要な重複を回避することの必要性につき考慮しなければならない。

UNDP、その他の国連機関、世銀、IMF、WTO及び地域開発銀行は、ホスト国との十分な協力の下に、それぞれの理事会に提出する国別戦略報告書の作成において共同作業を行うことができよう。各国において、情報交換及び各機関の比較優位に沿った計画の形成に資するために、定期的なドナー会合が開催されるべきである。このプロセスには二国間ドナーが関与するべきである。国連の常駐調整官、世銀、地域開発銀行の代表のいずれかが、こうした会合を定期的に主催することができよう。こうした会合は経費を削減しつつドナーの作業を調整し、合理化することに寄与するであろう。

平和活動の非軍事的側面(民主化、警察訓練、制度の構築及び人道支援の実施などの任務を含む。)は、包括的なアプローチにより取り組まれるべきである。この関連で、我々は、緊急援助の段階から復興の段階への移行を円滑にするために国連、国際金融機関及び関連する地域的組織の間のより緊密な協力を奨励する。また、紛争後の諸国における多数国間ドナー及び二国間の協議も強化されるべきである。


VI.開発のための必要な多数国間支援の供与

46.
 多数国間金融機関の譲許的資金の増資は完了されなければならない。その文脈において、我々は、その負担を衡平に分担することの重要性を強調し、新たなドナーの出現を歓迎するとともに、他の諸国も参加するよう奨励する。

47.
 我々は、すべてのドナーが国際開発協会(IDA)の第11次増資に貢献することに合意したとの事実及び暫定信託基金の活動開始を歓迎する。この合意は、IDAが3年間にわたって220億ドルまで貸し出すことを可能にする。これは大きな成功である。すべてのドナーが、そのコミットメントを期限通りに完全に遵守することによりIDAの第11次増資の成功を確保することが重要である。

48.
 我々はまた、アフリカ開発銀行の事務局によりこれまでに実施されてきた改革を認識し、アフリカ開発基金の増資を歓迎する。その活動は、アフリカ大陸にとって死活的な重要性を有する。アジア開発基金の時宜を得た増資もまた重要である。

49.
 我々は、国際通貨基金(IMF)による最貧国に対する支援の中核としての拡大構造調整ファシリティー(ESAF)の継続にコミットする。また、我々は、限られた数の貧困重債務国に対するESAF貸付の譲許性を高めるというIMF専務理事の提案は、これらの諸国を持続可能な状況になるようにすることへのIMFの貢献としてこれを歓迎する。一義的にはIMFが有する資金を使用しつつ、ただし、二国間の拠出を排除することなく、必要な利子補給金を調達するための選択肢を、我々は建設的かつ前向きに検討していく。IMFは、必要に応じ、ESAFの資金調達を容易にするために、その準備金の管理の最適化を考慮すべきである。これによりIMFは、最貧国に対し、成長を目指したマクロ経済の安定と構造改革の展望を与えることができるようになるであろう。

50.
 我々は、債務問題の軽減とパリ・クラブによるナポリ・ターム(最貧国債務救済特別措置)の積極的な実施において達成された進展を歓迎する。
 しかし、幾つかの貧困重債務国については、特にパリ・クラブに参加していない多数国間機関や他の二国間債権者に対する債務の削減について追加的な措置が必要であることを認める。ブレトン・ウッズ機関が最近行った提案に従い、我々は、以下に基づいて遅くともこの秋までに具体的な解決策が合意されることを期待する。

解決策は、それぞれの当該国が経済調整を推進することについてのコミットメントを示せば、耐久不可能な債務からの出口を提供するべきであり、その国の具体的な状況に適切に対応したケース・バイ・ケースのアプローチによるべきである。

ESAFの継続は、これらの諸国のIMFに対する債務負担を削減する基礎を提供することとなろう。

我々は、このイニシアティブに対し5億ドル、また将来の数年において相当額の支援を表明するとの世界銀行の事務局による提案を歓迎する。我々は、世銀がこのイニシアティブに対し全体で20億ドル規模の貢献を行うことを支持し、そのために共に努力することとする。我々は、世界銀行が地域開発銀行と共に、これらの機関に対する債務を扱うための実際的な資金手当てのメカニズムを策定するよう期待する。

二国間の債権については、我々は、世銀及びIMFによる可能な限りの貢献を行うことと相まって、必要な調整努力を行うすべての貧困重債務国が資金支払能力と債務耐久能力を獲得するよう努力することにコミットしている。我々は、既に幾つかの債権国が行っている政府開発援助に係る債務の免除に留意する。我々は、パリ・クラブの債権国が、適切と考える場合には、ケース・バイ・ケースでこれらの国々のためにナポリ・タームを超える措置を実施するよう求める。この努力には、任意ベースで、債務のストックに係る債務転換の上限を現行の10%から20%にまで引き上げること及び更なる債務削減を行うことが含まれる。これと並行して、同様に、その他のすべての二国間債権者も同等の条件により、これらの国々に対してそれぞれ貢献するよう奨励する


VII.移行諸国の世界経済への統合の成功に向けて

51.
 冷戦の終焉は、かつての社会主義経済諸国に対し世界経済における正当な地位を占める機会を提供することにより、グローバル化に対し決定的な弾みを与えることとなった。

52.
 我々は、マクロ経済の安定化や構造改革を実施した多くの移行諸国によって達成された良好な経済的成果を歓迎する。多くの諸国、特に中欧諸国が、断固たる安定化及び構造改革の計画を実施し、昨年、堅固な成長を達成した。未だ改革を十分に採用していない他の諸国は遅れをとった。旧ソ連邦のほとんどの国は中欧よりも遅れて改革を開始したが、その多くは今年から成長が始まる状況にある。我々は、このような成果を達成し又は確固たるものとするために、すべての移行諸国が自らの経済改革を実施するよう奨励する。欧州復興開発銀行(EBRD)はこれらの改革を支援するのに重要な役割を果たしており、我々は、その資本を増加させるとの合意を歓迎する。

53.
 我々は、ウクライナが政治・経済改革を継続し、世界経済への一層の統合を目指して努力していることを支持する。この点に関し、我々は最近のIMFとの合意を歓迎し、ウクライナがその合意された改革計画を完全に実施するよう奨励する。
 我々は、ウクライナに関するモスクワ・サミットの宣言を歓迎し、2000年までに発電所全体を閉鎖するとの計画の枠組みの中で1996年末までにチェルノブイリ第1号炉を閉鎖するとのクチマ大統領のコミットメントを歓迎する。我々は、ウクライナとの間で結ばれた覚書を同国及び国際金融機関との緊密な協力を通じて完全に実施するとの我々のコミットメントを再確認する。このような観点から、我々は、国際社会によって既に行われた資金面での決定を歓迎し、包括的な計画において合意された課題をすべての関係者が尊重しなければならないことを強調する。

54.
 我々は、ロシアにおいて進行中の政治改革とその民主主義へのコミットメントを支持する。経済・政治改革は、相互に補強し合い、ロシアが世界経済においてより重要な役割を果たすことを可能にするものである。我々は、拡大信用供与措置(EFF)に関するロシア当局とIMFとの間の合意を歓迎する。この合意は、財政面での安定と経済改革に対してロシアが引き続きコミットしていることを示すものである。ロシアの経済的成功と世界経済への統合は、自らのコミットメントを完全に実施するか否かにかかっている。経済回復にとって現在決定的に重要なのは民間投資であるが、そのためには信頼できる経済的、法的及び行政的環境が必要である。我々は、ロシアの対外債務の包括的な中期繰延べについてのロシアとパリ・クラブとの歴史的な合意を歓迎する。これは、ロシアが債務繰延べの循環から脱出することを可能にするものである。また、この合意によって、ロシアが債権国として参加するための条件について合意できるかどうかを検討するために、ロシアとパリ・クラブのメンバーとの間で討議を行うことが可能になるであろう。



次回サミット

55.
我々は、来年デンバーにおいて会合するとのアメリカ合衆国大統領の招待を受諾した。


出典: 日本政府


G8 Centre
Top
This Information System is provided by the University of Toronto Library and the G8 Research Group at the University of Toronto.
Please send comments to: g8info@library.utoronto.ca
This page was last updated .

All contents copyright © 1995-2003. University of Toronto unless otherwise stated. All rights reserved.